文字の歴史と印刷文化

その4 写す

10.マルコ・ポーロ 「驚異の書より-東方見聞録」 [写]

マルコ・ポーロ 「驚異の書より-東方見聞録」

15世紀初頭 フランス制作(複製)
Marco Polo
Le Livre des Merveilles-Le monde mysterieux du Levant (editions facsimile)

France: early 15th century.

本書は、シャルル5世の弟であり中世末期の最も偉大な愛書家、ベリー公ジャンの旧蔵書であり、現在フランス国立図書館に所蔵されています。「東方見聞録」は当初フランス語で書かれ、その後各国語に翻訳されました。本書は、元写本に最も近い写本といわれていますが、そればかりではなく、フランス中世美術の傑作ともいえる多数の彩飾画が収められています。今回は、ジパングに関連する部分を展示致します。




11.「ラテン語聖書」 [写]

「ラテン語聖書」

1350~65年頃 イギリス制作 羊皮紙零葉一枚
旧約聖書より「エレミヤ書」第10章
A leaf from the BIBLE IN LATIN, JEREMIAH Xth.
England: ca. 1350~65.
From an illuminated 14th-century English Lectern Bible.

14世紀中葉、英国において書かれたラテン語聖書の一葉と思われます。羊皮紙に書かれた端正なゴシック体のテキストは茶色のインクで書かれ、見出しは赤色と青色のインクで書かれています。さらに2行にまたがった装飾頭文字「A」は濃いピンク色と青色の下地のうえに金を使って書かれています。この零葉は、本来全4巻からなる「ラテン語聖書」の一葉で、全4巻のうちの第1巻は、現在大英図書館が所蔵しているものと推測されます。